マンションの管理会社の選定は、誰にとっても難しいもの。選び方の解説も重要ですが「とりあえず、おすすめの会社を知りたい」という人も多いでしょう。
そのため、当記事では全国のマンション管理会社の中で、特におすすめできる10社をランキング形式で紹介していきます。また、補足の知識として、以下の内容も合わせて解説します。
これらの内容を読んでいただくことで、ご自身や組合のニーズに適した管理会社を、より見つけやすくなるでしょう。
最悪なマンション管理会社を選ばないための4つのポイント
悪質なマンション管理会社を回避し、優良な管理会社を選ぶためには、下の4つのポイントが重要となります。
空室問題 | 平均空室期間を確かめる |
---|---|
滞納問題 | 滞納率・件数を確かめる |
入居者問題 | 解決能力・体制を確かめる |
コスパ問題 | 費用対効果を確かめる |
以下、それぞれの内容を詳しく解説していきます。
ポイント1:【空室問題】平均空室期間を確かめる
一般的な平均空室期間は「30日~40日程度」とされています。そのため、この期間より長い会社はNG、短い会社は優良というのが一つの基準です。
もちろん、他の要素も加えて選ぶべきであるため、これだけで全て決まるわけではありません。ただ「平均空室期間が短い管理会社は、他の要素も優れていることが多い」ものです。
ポイント2:【滞納問題】滞納率・件数を確かめる
滞納率が高く件数が多い管理会社は、住民や会計の管理を適切にできていないといえます。そのため、このような管理会社は避けるべきです。
約3割の管理組合は、0%~10%の滞納がある
滞納が0%~10%ということは、「最大で10人に1人は滞納している」ということです。こうした「10人当たりの滞納が0人~1人」という組合が、全国のおおむね約3割となります。これは下の国交省の資料でわかります。
画像引用元:【PDF】マンション総合調査の調査結果からみたマンションにおける居住や管理の状況(国土交通省)
最新で平成15年と、少し古めのデータではあります。その前提でまとめると、下のとおりです。
0%(滞納なし) | 67.9% |
---|---|
0%超~10%以下(やや滞納あり) | 30.9% |
10%超(かなり滞納あり) | 1.1% |
まったく滞納のないマンションが約7割あるため、管理費の滞納は0%が主流といえるでしょう。どのくらいの日数から滞納にカウントするかにもよりますが、「何かしら滞納がある」というマンションは、約30%に限られます。
そのため、管理会社を選ぶときは「滞納ゼロ」を一つの基準にするといいでしょう(それでようやく平均点を超えられるので)。
ポイント3:【入居者問題】解決能力・体制を確かめる
入居者問題には、下のようにさまざまな種類があります。
- 水漏れ・水回り
- ゴミ出し
- 騒音
- 悪臭・異臭
- 家賃滞納
どのような内容にしても、それぞれベストの業者と提携するなどして、スムーズに問題を解決できる管理会社が望ましいものです。また、特に鍵やエレベーター関連などの緊急対応については、対応の体制も重要となります(一定間隔でよく起こるトラブルであるため、事前に体制を整えておくのが当然だからです)。
こうした問題解決については、下の「自主管理」の記事で詳しく解説しています。より詳しく知りたい方は、こちらを参考にしていただけたらと思います。

ポイント4:【コスパ問題】費用対効果を確かめる
何でも「お金をかけるほど良いものになる」のは基本です。しかし、その「コスパ」があります。
億ションの管理会社のサービスは万全ですが、コスパはおそらく悪いでしょう。「万が一に備える」サービスが多すぎ、使わない部分が多いためです。
そう考えると「よく使われる部分」に「手厚いサービスをする」という「ムダのない管理」をする会社が理想といえます。そのような「コスパのいい」管理会社かどうかもよく吟味しましょう。
このコスパは「そのマンション・オーナーさんが目指すもの」によって変わるため、個別に最適な管理会社を探していただく必要があります。こうしたコスパも含めた管理会社の選び方については、下の記事でさらに詳しく解説しています。

本当に頼れるおすすめマンション管理会社ランキングTOP10
順位 | 会社名 | 種類 | 対応地域 | 受託戸数 | 評価点 |
---|---|---|---|---|---|
![]() |
独立系 | 約1.3万戸 | 関東(茨城以外) | 98点 | |
![]() |
東急コミュニティー | デベロッパー系 | 約83万戸 | 全国 | 95点 |
![]() |
大京アステージ | デベロッパー系 | 約43万戸 | 全国 | 94点 |
![]() |
興和ビルメンテ | ビルメン系 | 非公開 | 関東中心 | 92点 |
5位 | 三菱地所コミュニティ | デベロッパー系 | 約32万戸 | 全国 | 92点 |
6位 | 合人社計画研究所 | 独立系 | 20万戸超 | 全国 | 87点 |
7位 | 日本ハウズイング | 独立系 | 国内外55万戸超 | 全国 | 87点 |
8位 | タイト総合管理 | ビルメン系 | 年間約1100戸 | 福岡中心の九州エリアなど | 84点 |
9位 | 長谷工コミュニティ | デベロッパー系 | 約37万戸超 | 全国 | 81点 |
10位 | 旭中央 | 独立系 | 非公開 | 関西中心 | 78点 |
1位:武蔵コーポレーション

武蔵コーポレーションの特徴
武蔵コーポレーションは、管理戸数13,000戸以上、入居率97%という高い実績を誇る管理会社です。対応エリアは茨城県を除く関東全域で、このエリアでアパートやマンションの管理会社を探しているのであれば、特におすすめの会社といえます。
武蔵コーポレーションの管理プラン・相場
管理プランは下の2種類があります。
- 一般管理プラン
- 一括借上(サブリース)プラン
それぞれの料金相場のみを書き出すと、下のとおりです。
一般管理プラン | 5% |
---|---|
一括借上プラン | かからない |
一括借上プランは「かからない」というものの、これは「費用の名目の違い」と考えてください。
- 一括借上では、全室を「武蔵コーポレーションが」借りてくれる
- そして、毎月一定金額を払ってくれる
- 空室があってもなくても、同社は「全室分」を払ってくれる
- 代わりに、そこから10%~30%の金額が引かれる
というやり方です。たとえば「家賃5万円」の部屋が10戸あったとします。その場合、満室なら「毎月50万円」入ります。
- 50万円「全額」は渡してくれない
- 手数料率10%なら「45万円」を渡してくれる
- この場合、5万円は武蔵の取り分
- たとえ空室があっても、45万円必ず渡してくれる
- 空室があって困るのは武蔵だけ(オーナーは困らない)
という仕組みです。つまり、オーナー側には「まったくリスクがない」「代わりに、武蔵の取り分が通常より増える」というやり方になります。
(手数料率10%でも、一般管理プランの5%の2倍ですし、30%になれば「6倍」なので)
一括借上プランは「初中級者・兼業オーナー」向け
いわば、一括借上プランは「ローリスク・ローリターン」の方法といえます。自分の取り分が少なくなる(ローリターン)の代わりに、ローリスク(空室リスクは武蔵が背負ってくれる)ということです。
そのため、下のような人に適しています。
- 賃貸経営の初心者・中級者である
- 上級者でも、兼業なので忙しい
ということです。自分で空室を埋めるスキルがない、あるいは「あっても時間がない」という人には、この「一括借上プラン」が適しています。
武蔵コーポレーションの口コミ
私が住んでいる分譲マンションの管理会社で、信頼できると思ったので、経営する賃貸アパートの方でも、管理をお願いすることにしました。武蔵コーポレーションさんにお任せしてから、あらゆる雑事から解放され、安定した収入も入るようになり、大満足です。(神奈川県・54歳・男性)
「一括借上プラン」で、保有している賃貸マンションの運営をお任せしています。手数料率は上がりますが、空室が大幅に減ったので、毎月の収入は増えており、しかも安定しています。小さな手間で安定した家賃収入を得たいオーナーさんには、特に向いている管理会社だとい思います。(栃木県・46歳・男性)
2位:東急コミュニティー
東急コミュニティーの特徴
東急コミュニティーは、名前どおり東急グループの「デベロッパー系」管理会社です。「総合不動産管理のリーディングカンパニー」と自らうたっているとおり、堂々たる実績を誇っています。
マンション管理戸数 | 831,684戸 |
---|---|
ビル・施設管理件数 | 1,540件 |
上記は2019年3月31日時点のデータですが、これはデベロッパー系の中でもトップレベルの数値です。このように「豊富な実績により、多少管理費が割高でも安心できる」というのが、同社に管理を委託するメリットといえるでしょう。
東急コミュニティーの管理プラン・相場
東急コミュニティーの管理プランには、下のようなものがあります。
- 管理組合運営
- 維持保全管理
- エネルギーサービス
それぞれ「誰向けのサービスか」を一覧にすると、下のとおりです。
「管理組合運営」の内容はそのままで、マンションの管理組合が東急に依頼するものです。これは「マンション全体」のものなので、個別の部屋を賃貸に出しているオーナーの場合は関係がありません。
「維持保全管理」は、組合の運営には手を出さないが、機械や設備などの維持保全をするというもの。主に「技術面のサポート」といえるでしょう。
これは組合全体で受けることもあれば、個別のオーナーが自分の賃貸物件に受けることもできるサービスです。個別で受ける場合、特に「緊急対応サポート」などの内容が役立つでしょう。
3つ目の「エネルギーサービス」も、組合・個別オーナーの両方が利用できるものです。組合全体で利用する場合、特に「高圧一括受電サービス」など「一括系」の規模が大きくなるため、お得度が増します。
相場は決まっていない
東急コミュニティーの管理プランは、料金の相場が特に決まっていません。個別の状況に応じて、それぞれ見積もりを出すという形です。
(これは東急コミュニティーに限らず、デベロッパー系の大手管理会社であれば、おおむね同じと考えて下さい)
東急コミュニティーの口コミ
うちは東急系のマンションではないのですが、前の管理会社がいまいちだったので、リプレイスで東急コミュニティーさんを指名しました。デベ系とは思えないほどフロントマンが謙虚な方で、サービスも小回りがきき、とても満足しています。(東京都・58歳・男性)
うちのマンションはもともと東急系から分譲されたので、その流れでそのまま東急コミュニティーになっています。しかし、特に不満を感じたこともなく、組合や理事会のメンバーも全員満足していると思います。(千葉県・49歳・男性)
3位:大京アステージ
大京アステージの特徴
大京アステージは、名前どおり「大京穴吹」グループの管理会社です。2019年3月31日時点で、下のような管理受託実績を持っています。
組合数 | 7,614組合 |
---|---|
戸数 | 428,633戸 |
また、大京アステージ単独でなく、大京グループ全体で計算すると下のような実績となります。
組合数 | 9,616組合 |
---|---|
戸数 | 536,552戸 |
「大京穴吹」というブランドの信頼性に加え、このように豊富な管理実績があることが、強みといえます。
大京アステージの管理プラン・相場
大京アステージの管理プランには、下のようなものがあります。
- 管理組合運営業務
- 会計業務
- 管理員業務
内容はそれぞれ文字通りで、特徴は「会計業務」だけのプランもある点でしょう。
- 個別の貯水槽清掃などの業務は、専門業者に直接発注する
- 一番難しい、会計業務のみ委託する
という使い分けもできるわけです。また「管理員だけ派遣してもらう」という、管理員業務のみの利用も可能です。
料金相場
大京アステージも他の大手管理会社と同様、管理プランの料金相場は決まっていません。「大手の平均的な水準」と考えていただくといいでしょう。
大京アステージの口コミ
組合で管理会社の見直しを考えていて「会計業務だけはプロに任せたい」ということになりました。大京アステージさんはそのようなプランのカスタマイズに対応されていたので、選びました。個別の清掃などの自主管理はうまく行っているし、会計も安心できるので皆満足しています。(埼玉県・54歳・女性)
管理組合の業務全般をおまかせしています。建物の資産価値向上や、マンションの付加価値向上などの取り組みに積極的なのがいいと思います。(千葉県・62歳・男性)
4位:興和ビルメンテ
興和ビルメンテの特徴
興和ビルメンテは名前どおりビルやマンションのメンテナンスを本業とする会社です。清掃・設備管理などの「ハード面」に関しては、他の管理会社より優れているといえます。
反面、これはビルメンテナンス系のすべての管理会社にいえることですが、ソフト面のサポートは少々弱めです。そのため、ソフト面の運営が自分達で問題なくできるという管理組合におすすめといえます。
興和ビルメンテの管理プラン・相場
興和ビルメンテの管理プランは、主に下の2通りに分かれます。
- 事務管理事業
- 建築修繕工事事業
もともとビルの修繕や工事がメインの会社なので、2つ目の事業(プラン)の方を得意としています。事務管理事業については「さらに組合の運営全般のサポートもします」という印象です。
料金相場
料金はどちらも「内容による」ため、明記されていません。ただビルメンテナンス系の管理会社の特徴として、下の点を指摘できます。
- 管理組合サポートの費用は割高(もともと本業ではないので)
- 修繕・メンテナンス系は割安(もともと本業なので)
つまり「組合運営は自分達でやる」「修繕・メンテナンスのみ任せる」というときに、特に割安でコスパの良い管理会社といえるでしょう。
興和ビルメンテの口コミ
うちのマンションは、不動産会社の社長と公認会計士が理事に入っているので、組合サポートのサービスは要らないと思っていました。逆にビルメン系はプロにお任せしたいということで、興和ビルメンテさんにお願いし、非常に良くメンテナンスしていただいています。(61歳・東京都・男性)
私たちのマンションはもともと自主管理で、メンテナンスのみ興和ビルメンテさんに依頼していました。しかし、組合の主力だった有力な理事長が亡くなってしまったことで、運営も任せられる会社がいいと思い、興和ビルメンテさんに運営のサポートも依頼するようになりました。長年の付き合いなので信頼しています。(66歳・神奈川県・女性)
5位:三菱地所コミュニティ
三菱地所コミュニティの特徴
名前どおり、三菱地所を親会社に持つ、デベロッパー系の管理会社です。特に三菱の物件では設計情報が豊富な点で有利といえます。
管理受託実績は、2017年3月時点で下のようになっています(Wikipediaより)。
管理受託戸数 | 32万0415戸 |
---|---|
受託管理組合数 | 4216組合 |
こうした豊富な実績に加え、次の段落で説明するように「さまざまな業務に対応している」点が特徴といえます。
三菱地所コミュニティの管理プラン・相場
三菱地所コミュニティは、下のように7つの業務サービスを提供しています。これらの中から必要なものを組み合わせて「自分たちのマンションのプラン」とします。
- アカウントマネジメント業務
- コミュニティマネジメント業務
- テクニカルマネジメント業務
- クリーンメンテナンス業務
- セキュリティマネジメント業務
- スタッフサービス業務
- 大規模修繕工事
それぞれの業務の内容は下のとおりです。
アカウントマネジメント | 会計管理 |
---|---|
コミュニティマネジメント | 組合運営 |
テクニカルマネジメント | 建物設備維持 |
クリーンメンテナンス | 清掃・植栽管理 |
セキュリティマネジメント | 緊急連絡受付・対応 |
スタッフサービス | 管理員業務 |
大規模修繕工事 | 12~15年に一度の大規模修繕 |
これらもやはり料金相場は書かれていません。三菱系のマンションだったら、他のデベロッパー系の管理会社より割安になる可能性もあります。
三菱地所コミュニティの口コミ
うちは三菱系の分譲マンションなので、最初からこちらの三菱地所コミュニティさんです。三菱というブランドで安心できるし、ブランドだけでなく実際のサービスも良いので、住民全員満足していると思います。(千葉県・42歳・女性)
三菱系の分譲マンションなので最初から決まっていた管理会社ではありますが、数年前に一度見直しを行いました。数社の相見積もりをとった結果、やはり「三菱地所コミュニティさんが一番いい」という結論になり、今もお付き合いが続いています。(埼玉県・49歳・男性)
コスパが良いのは独立系!独立系・デベロッパー系のメリット・デメリット
マンションの管理会社は、大別すると独立系・デベロッパー系に分かれます。それぞれのメリット・デメリットを一覧にすると、下のとおりです。
分野 | メリット | デメリット |
---|---|---|
独立系 |
|
|
デベロッパー系 |
|
|
ここでは、それぞれのメリット・デメリットを個別に説明していきます。
独立系
先に結論を書くと、当記事では全体的に独立系をおすすめしています。ここでは、独立系のメリットとデメリットを詳しく解説します。
独立系のメリット
独立系のメリットを一覧にすると下のとおりです。
以下、それぞれのメリットについて解説していきます。
デベロッパー系より割安
独立系のメリットは、まず「デベロッパー系より割安」ということ。安くなる理由は下のとおりです。
- 人事・総務などの「間接コスト」が少ない
- ブランド力がない分、強気の価格設定ができない
特に1つ目の理由が重要で、独立系がサービスの質を下げていて安いのではなく、大手はムダなコストが多いのです。人事・総務・会計などのお仕事は確かに重要ですが「顧客に直接関わるものではない」といえます。
そうした「間接コスト」が多いほど料金が高くなるのは当然のことです。スーパーや農業のような「物量が命」というビジネスは別ですが、マンション管理のような「個別のサービスが命」というビジネスでは「規模が大きいとむしろ不利になる」ともいえます。
親会社とのしがらみがない
独立系は文字どおり「独立」しているため、親会社などの意向をうかがう必要はありません。デベロッパー系は「組合ではなく親会社の利益になる提案」をすることがしばしばあります。しかし、独立系では「組合の利益を考えた提案」をしてくれやすいのです。
もちろん、独立系でも私企業である以上「自社」の利益は考えます。しかし「親会社の分」までは考えません。
ジャンル | 誰の利益を考える? |
---|---|
独立系 | 組合・自社 |
デベ系 | 組合・自社・親会社 |
このように、デベ系は「利益を考える相手が1つ多い」のです。独立系は単純計算で「半分」は組合のことを考えてくれます。それに対して、デベ系は「3分の1」しか考えてくれません。
このような点で「独立系の方が組合のことを親身に考えてくれる」といえるのです。
特に小・中規模のマンションに強い
独立系のほとんどは中小企業です。そのため、管理するマンションの規模も「小中規模」を得意としています。
これを読んで「大手なら小規模~大規模まで行けるのでは?」と思う人もいるでしょう。確かに「作業自体」はできます。
しかし、大手は大規模な組織の運営にかなりのコストがかかっているのです。そのコストを払ってもさらに利益を出すために「大口の案件」しか受けられません。
そのため、中小のマンションでも「不必要に高い管理費」になります。一定以上の金額でなければ、彼らは「受ける意味がない」あるいは「受けると赤字になってしまう」ためです。
一方、規模が小さい独立系は「小口の仕事」でも十分な利益になります。そのため、小中規模のマンションでも積極的に良い仕事をしてくれるのです。
独立系のデメリット
独立系のデメリットを一覧にすると下のとおりです。
大手よりも会社の当たり外れがある(落差が激しい)
独立系の多くは「社会的には無名の会社」です。業界では名が通っていても、一般的には知られていないということが多いといえます。
(そもそも東証1部の上場企業でもほとんどの会社は一般に知られていません。そのため、決して「独立系やマンション管理会社の存在感が小さい」というわけではありません)
知名度が低いということは「非常にいい会社」に当たることもあれば、「非常に悪い会社」に当たることもあるわけです。たとえばブラック企業を考えるとわかりやすいでしょう。
- ニュースになるブラック企業は、ほとんどが「大手」である
- しかし、実際のブラック企業はほとんどが中小企業
上の内容は、多くの人が納得できると思います。知名度が低いということは、企業の実情がわかりにくいため、当たり外れも激しくなるわけです。
もちろん「想像より遥かに良い」ということもしばしばあります。要は、中小企業はブランドで判断できない分「自分の目で判断しなければならない」ということです。
建築時の詳細情報が、デベ系よりも少ない
デベロッパー系は、親会社(あるいはグループ会社)が、そのマンションを建設しています。そのため「建設時の情報がある」わけです。
これは日常の修繕だけでなく、特に大規模修繕で有利になります。独立系の管理会社がこうした情報を手に入れようとしても、法律的に入手できる範囲の情報しか入手できません。
(それでも工事自体は問題なくできますが、より詳細な情報が「最初からすべて揃っている」方が、何かとスムーズなのは確かです)
デベ系に比べると、大規模マンションが得意な会社が少ない
独立系は、会社の規模自体がデベロッパー系よりも小さくなります。そのため、大規模マンションが得意な会社は少なめになります。
独立系でもある程度規模が大きい会社、実績が豊富な会社は、大規模マンションでも問題なく対応できます。そのため、自分たちのマンションが大規模であれば、対応してくれる独立系の会社を探せばいいだけのことです。
ただ、その「選択肢が少なくなる」というのが、わずかながらデメリットといえます。
デベロッパー系
ディベロッパー系のメリットとデメリットは、ここまで書いてきた独立系の内容と「逆」になります。それぞれ詳しく解説していきましょう。
デベロッパー系のメリット
まずデベ系のメリットを一覧にすると、下のとおりです。
それぞれ詳しく解説していきます。
良くも悪くもサービスの質が一定である
大手というのは、どんな業界でも「一定の品質が保証されている」もの。食料品でも衣類でも「あの会社の製品なら大体こうなる」というのが、誰でも想像できるでしょう。
これはマンションの管理でも同じで「あの大手なら、大きく間違うことはない」と想像できます。稀に「ひどい社員」もいるでしょうが、そもそも大手の中でも出世競争があり、そのような社員は淘汰されるわけです。
そのため、大手管理会社のサービスは、一定の水準が保証されるようになっています。逆にいえば「個人の自由裁量は小さい」ため、突出して良い会社・良いフロントマンというのも少なくなります。
建築時の詳細情報がある
先に「独立系のデメリット」で説明したとおり、デベロッパー系の管理会社には、親会社経由の「建設時の情報」が豊富にあります。これがあるため、大規模修繕などでは特に有利といえます。
ただ、独立系の管理会社を迎えている多くのマンションが問題なく大規模修繕をできているため、建設時の情報がなくても大規模修繕はできるということは意識してください。
大規模マンションに強い
デベロッパー系の会社は大部分が大手であるため、自然と大規模なマンションにも強くなります。そもそも親会社の規模によっては「建設するマンションの大半が大規模物件」ということもあります。
そのため、特にタワーマンションなどの物件では、そのマンションを建てたデベロッパー系の管理会社が良い、ということもしばしばあるものです。
デベロッパー系のデメリット
ディベ系の管理会社のデメリットをまとめると、下のとおりです。
以下、それぞれの詳しい説明です。
独立系より割高
デベロッパー系は大手企業が多く「間接コスト」が多くなります。人事・財務・総務などの「管理部門」や、広大なオフィスの地代などです。
また、CSRなどの社会的活動は非常に良いものですが、大手になるとその規模も大きく、その費用も利用者が支払っていることを忘れてはなりません。「CSRが必要とされない規模で、すべて顧客に還元する」というスタンスも、ある意味社会貢献なのです。
何にしても、大手は何かとコストがかかっているため、自然と管理費も割高になります。「質が良いから高い」のではなく「サービスと関係ない部分で高くなっている」のです。
親会社の利益を優先することが多い
デベロッパー系の管理会社は、立場上、親会社の利益を優先せざるを得ません。フロントマンがどれだけ組合重視で動こうとしても「会社の意向」に逆らうことはできないのです。
このため、たとえば「建設費の売上を増やすために、ムダな修繕を提案する」などの事例が多く見られます。独立系ならこのような利益のしがらみがないため「適切な修繕だけ」を提案してくれます。
小・中規模でも対応可だがコスパが悪い
デベロッパー系は、大規模マンションに強い代わりに、小中規模のマンションには弱いといえます。対応自体は可能ですが、多くのコストをかけて運営している分、小口の案件をこなす意味がないのです。
恐竜の体をイメージするとわかりやすいでしょう。恐竜は、あの巨体を維持するために「大量に食べる」必要がありました。そのため、気候変動などの「食べ物が少なくなる時期」を生き残れなかったとされます。
小中規模の案件は、この「食べ物が少ない案件」なのです。そのため、「それでも十分な利益」と感じられる規模の企業(独立系)の方が、コスパの良い仕事をしてくれます。
(むしろ、小中規模のマンションで大手の管理会社に委託する理由は、あまりないといえます)
知名度で選ぶと最悪な結果に?知名度で選んではいけない3つの理由
マンションの管理会社に限らず、何かを選ぶときに「知名度」を見る人は多いでしょう。それも一つの選び方ではありますが、マンションの管理会社の選択では、マイナスに働くことが多いものです。
ここでは「なぜマンションの管理会社を知名度で選んではいけないのか」という理由を3つ解説します。
理由1:強気の条件で交渉を仕掛けてくる
これは通常の交渉でも同じですが「力がある方が交渉で有利」なものです。そして、知名度の高い管理会社というのは、その「力のある会社」といえます。
そのような会社と交渉すると、組合が不利になることが多いのです。具体的には知名度の低い会社なら応じてくれる値下げに、応じてもらえないなどのケースが多く発生します。
知名度の低い会社は、利益が小さくても積極的に仕事をしてくれる
知名度の低い管理会社は、まず知名度を上げなければなりません。実際の管理実績をつくることが重要なので、多少利益が小さくなっても、積極的に仕事に取り組んでくれるのです。
つまり、大手にはない「ハングリーさ」があるといえます。「そんな実績のない会社が信用できるのか?」と思う人もいるでしょう。
- しかし、実際にこうした会社は良い仕事をする
- そのため、仕事が大手の一極集中にならない
- 結果、中小の管理会社が生き残っている
- 特に良い会社はさらに成長し、大手を脅かすほどになる
上のような経済の流れが起きていること自体が「知名度の低い会社でも、信頼できるところは多数ある」という証拠になるでしょう。むしろ、知名度にあぐらをかきやすい大企業は、時間とともに衰退していくことも多いほどです。
このような理由から、あえて知名度の高い会社と不利な交渉をし、場合によっては「質の低いサービス」をされるより、「優れた中小企業を見つける方が良い」といえます。そうした中小企業を見つけるにはある程度の努力が必要になりますが、それさえすれば大きな利益を得られるということです。
理由2:広告宣伝費の分、コスパが悪いことが多い
知名度の高い管理会社の多くが「多額の広告宣伝費をつぎ込むことによって」その知名度を獲得しています。このコストは、当然「顧客からもらうお金に含まれている」のです。
つまり、そのような「宣伝によって獲得された知名度」であった場合、知名度の高い会社を選ぶほど、金銭的に損をすることになります。その会社の宣伝費まで、自分たち(あなたの組合)が払わされるということです。
おかしな話ですが、あらゆる業界で実際に起きている現実です。そのため「知名度に惑わされてはならない」といえます。
理由3:デベロッパー系は親会社を優先することもある
知名度の高い管理会社の多くは、デベロッパー系(デベ系)です。こうした会社は、親会社のデベロッパーの利益を優先する傾向があります。
たとえば、大規模修繕を「デベロッパーの工事部門」あるいは「関連会社」が手掛けるとします。その場合修繕の内容を増やして高額な工事にする方が売上が伸びるのです。
そのため、本来は組合のために「必要最小限の工事」を提案するはずの管理会社が「ムダな工事」を多数提案するようになります。このような事態があらゆる場面で起こる(恐れがある)ため、特にデベ系で知名度の高い会社は、警戒するべきなのです。
管理会社の変更方法は7STEPで解決!
管理会社を変更するときの手順と詳細を一覧にすると、下のとおりです。
手順 | 内容 |
---|---|
現状チェック | 管理費・業務状況などを調べる |
見直しの申入れ | 管理会社に対して |
見積り依頼 | 複数社に対して |
説明会 | 住民を集め、複数社にプレゼンしてもらう |
理事会決定 | 総会の前に、理事だけで方針を決定する |
総会決議 | 理事会が出した方針で良いかの決議をとる |
契約締結 | 正式に契約を交わす |
より詳しい内容については、下の記事でまとめているため、こちらを参考にしていただけたらと思います。
