マンションの管理会社の良し悪しは「マンション生活の快適さ、建物の寿命」を、もっとも大きく左右する要素の一つです。組合の理事をされている方でも、あるいは普通のオーナーさんでも、
- うちのマンションは管理会社を見直すべきではないか?
- 見直すならどのように進めればいいのか?
という点が気になることはしばしばあるでしょう。ここではそのような疑問を解消できるよう、以下の内容を説明します。
これらの内容を押さえていただくことで、より的確に管理会社の見直しを行っていただけるでしょう。
マンション管理会社の見直し・7つのステップ

マンション管理会社の見直しは、以下の7つの手順(ステップ)で行います。
この流れは、下のダイヤモンドオンラインの記事を参考にしたものです。
【参考】マンション管理費の見直しはデータを踏まえて交渉を(ダイヤモンドオンライン)
現状をチェックする(管理費・業務状況など)
どんなプロジェクトでも、まず「自分たちの現在地」を確認することがスタートとなります。これは管理会社の見直しでも同じです。もっとも重要な指標となる管理費をチェックします。
- 管理費を項目ごとに文責する
- 割高な部分、ムダがないかを調べる
ということが重要です。また「契約した業務の内容が約束通りに行われているか」もチェックしましょう。
管理会社に見直しを申し入れる
管理費をチェックした結果「問題あり」と判断したら、見直しを申し入れます。管理会社に対する「値下げ要求」です。
ここでのポイントは口頭ではなく正式な書面で通達するということ。組合の理事長名で文書を作成しましょう。
もちろん、書面だけをいきなり送るのも唐突なので、事前に電話や対面によって口頭で話してから、あらためて文書を送るようにします。
他社に見積もりを依頼する

見直しの申し入れと並行して、他の管理会社にも見積もりの依頼をします。これにより「見積もりの比較」ができるためです。この見積もりのとり方ですが、
- 規模やタイプが違う会社を選ぶ
- 3~5社ほど選ぶ
という2点を意識しましょう。タイプについては、たとえば以下のものがあります。
それぞれのタイプの特徴を簡単に説明します。
ディベロッパー系(デベ系)
「デベ系は、自社で建設したマンションしか管理しない」ということはありません。近年は積極的に「他社建設のマンション」の管理にも乗り出しています。つまり「普通の管理会社」になりつつあるということです。
独立系
独立系は、デベロッパー(マンションの建設会社)とは関係のない「管理だけを専門的に行う会社」です。デベロッパーとのしがらみがなく、小規模でムダなコストがかかっていないため、特に地元の独立系はコスパが良いといえます。
ビルメンテナンス系
これは文字通り、ビル・マンションのメンテナンスを日頃からメインとしている会社です。そのような会社が「組合などのサポートにも乗り出した」というイメージです。
清掃や修繕などの「ハード面」はもともとこれらの会社がやっているわけですから、その分野に強みがあります。逆に組合のサポートなど「ソフト面」はやや弱いものです。
見積もりは「現状と同じ業務内容」でとる
見積もりは「同じ内容」で比較するのが鉄則です。理科の対照実験などもそうですが「条件が違えば比較にならない」ためです。
そのため、どの会社に対しても「同じ業務内容」での見積もりを作成してもらいます。これを拒んで「独自の内容」で見積もりを提出してくる会社は、おそらく「比較されたくない事情がある」といえるでしょう。
まともな管理会社であれば、同じ条件での相見積もりを拒むことはありません。逆にこうした見積もりに難色を示す管理会社であれば、契約を避ける方がいいでしょう。
説明会を開く(各社担当者によるプレゼン)

各戸のオーナーさんを集めて、説明会を行います。説明する内容は、
- 管理会社の見直しに至った経緯(なぜ見直すのか)
- 理事会としての考え(どう見直すのか)
です。通常は理事会で先にある程度見直し案を詰めておくので、上のような流れになります。説明については、事前に文書を配布して、詳しい内容を伝えておくのがルールです。それによって、区分所有者の方々も参加するかしないかを決められるからです。
管理会社にも説明・プレゼンをしてもらう
説明を行うのは理事会だけではありません。
- 現行の管理会社
- 新たな候補の管理会社
にもプレゼンをしてもらいます。実際にその会社の社員さんに、住民の目の前で話してもらうことで、その会社を信頼できるかどうか、判断しやすくなるでしょう。
理事会の方針を決定する
説明会の後で、オーナーさんたちの意見を収集します。ほとんどの場合、方法は書類によるアンケートです。
そうして全員の意見を収集したあと、理事会としての方針を決定します。そうして「適正な金額」を見定めた上で、
- 今の管理会社にそのまま任せるか
- 新たな管理会社に依頼するか
を決めます。理事会で決めた後、あらためて「それで良いか」を確認する、総会議案を作成します。
管理組合の総会を開き、決議をとる
議案を全員に通達したあと、いよいよ総会を開催します。今の管理会社で継続する場合も、新しい会社に切り替える場合も、この総会での決議が必要です。
急ぐべき内容なので、一般的には臨時総会を開きます。ただ、定期総会がちょうど開催されるタイミングであれば、一緒に行うこともあります。基本的には、
- 普通決議として
- 過半数の賛成
によって決まります。過半数というのは、区分所有者の人数か、議決権の数の過半数です。
契約を締結する(継続でも新たな内容で再契約)
管理会社を変更することになったら、解約の申し入れをします。解約できる最短の時期は「3カ月後」です。つまり、長くとも3カ月は、今の管理会社と付き合うことになります。
解約後は、新しい管理会社とあらためて「業務委託契約」を締結します。また、今の会社との契約を継続する場合も、契約内容が変わるはずなので、あらためて新しい内容で契約を交わします。
マンション管理会社の選定基準・9つ

新しい会社を探すにしても、今の会社の良し悪しを判断するにしても「選定基準」は欠かせないものです。具体的な選定基準は多数ありますが、ジャンルを大別すると下記の9つに分かれます。
これらの選定基準は、下のダイヤモンド誌の特集で紹介された内容です。
【参考】週刊 ダイヤモンド 2010年 10/9号(Amazon)
以下、それぞれの選定基準について詳しく解説していきます。
管理員の研修は充実しているか
管理員はマンション管理の現場に毎日立ち続ける人であり、フロントマンと並んで鍵となる役割といえます。その管理員の研修制度が充実しているかは、その管理会社の選定基準の一つになります。
具体的には、以下の項目をチェックすべきです。
- 初期教育
- 教育研修制度
- 研修マニュアル
- 個人情報保護研修
研修マニュアルなど、中には「企業秘密として、すべては教えられない」というものもあるでしょう。そのため、あくまで「教えてもらえる範囲」となります。
ただ、管理会社にとっても「大口の契約を獲得するための重要な情報提供」であるため、自信のある会社であれば、かなりのレベルまで公開してくれるはずです。逆に「ほとんど公開してくれない」という会社の場合、管理員の研修のレベルが低いと考えていいでしょう。
フロントマン・社員の研修のレベルが高いか
管理員だけでなく、フロントマン・社員の研修をどのように行っているかも重要です。具体的には下の3点をチェックしましょう。
- 研修施設
- フロント研修
- フロント研修のマニュアル
1つ目については「マンション管理の研修施設って何だ?」と思う人もいるでしょう。これは一般の方でも体験できる施設があり、下のSUUMOの記事で紹介されています。
【参考】体験できるマンション管理の研修施設 触れて学べば暮らしが安心・快適に(SUUMO)
こうした施設では、たとえば下のようなことができます。
- バルコニーの隔壁板の蹴破り体験
- 屋内消火栓放水体験
- マンホールトイレの組み立て体験
バルコニーの隔壁板は「ベランダの壁」というとわかりやすいでしょう。「いざという時はあそこを破る」というのは、誰でも知っているかと思います。
しかし、実際に破ったことがあるのとないのとでは、いざというときに落ち着いて対処できる度合いがまったく異なるでしょう。2つ目の「消火栓の放水」、3つ目の「マンホールトイレの組み立て」も同じです。
マンホールトイレというのは「非常時のトイレ」です。写真などの詳しい情報は、国土交通省の下のサイトでも紹介されています。↓
このような装置や道具などの扱いを体験できるのが、マンション管理の研修施設です。
- そうした施設を利用しているか
- どこの施設を利用しているか
ということを確認すれば、その管理会社の社員さん・フロントマンの「質」を判断しやすくなるでしょう。
理事会との関わり、新理事長への指導は適切か

理事会に関する内容では、下の点をチェックします。
- 「新理事長への指導」が的確か
- 「理事会へ出席」できるか(管理員・フロントマンが)
1つ目の「新理事長」というのは、新しい理事長でなければ、わざわざ指導をする必要はないためです。もちろん、一定期間は指導が必要ですが、いつまでも継続されたら理事長も逆に困るでしょう。そのため「新」とつけています。
2つ目の「理事会への出席」ですが、これは互いの(組合と管理会社の)意思疎通を図る上で必須といえます。大抵はフロントマンが出ることになりますが、管理員も同席してくれるような管理会社であれば、なおさら良いといえます。
スタッフは正社員中心か、採用記述は厳しいか
フロントマンや管理員などのスタッフを、どのように採用しているか、どのような形態で雇用しているかという点も重要です。
フロントマンは正社員か | 契約社員では責任を取りきれない |
---|---|
その他スタッフの雇用形態はどうか | フロントマン以外のスタッフが派遣社員中心の会社は、手厚いサービスが期待できない |
管理員の採用基準はどうか | 管理員に資格は不要だが、採用基準が厳しいほど安心できる |
マンションの管理員(管理人)に資格は必要ありません。下の2つの資格はフロントマンなどの「社員さん」が持つ資格です。
- マンション管理士
- 管理業務主任者
そのため、これらの資格がなくてもかまいません。しかし、こうした資格を保有している管理員さんが多く在籍している管理会社は、非常にハイレベルだといえます。
もちろん、最終的に管理員さんに必要なのは資格ではなく「日常の地味な業務を誠実に遂行できる人格」です。そのため、根本的に重要なのは「日頃管理人さんと接していて信頼できるか」という点です。
(最終的には、管理会社の選定基準の大部分がこのような「人間的な判断」になります。数字や資格などの情報で判断できるなら、誰も迷うことはないわけです)
日常業務は適切にされているか
日常業務については、以下の点をチェックします。
- 「建物・設備の維持管理」がしっかりしているか
- 「業務報告」が適切か(頻度・内容など)
- 「専有部」のサービスはどうか(最終的には管理費とのバランスが重要)
- 「滞納への対応」はどうか(期間・督促方法など)
- 「基幹業務が分業」されているか(されているほど良い)
設備の維持管理や、業務報告については説明不要でしょう。3つ目の「専有部のサービス」ですが、「戸別の部屋に対するサポートもしっかりしているか」という点です。
ただ、これについては「やればやるほど管理費が高くなる」もの。そのため、最終的には「管理費とのバランス=コスパ」で決めます(サービスが手厚ければ良いとは限りません)。
「滞納への対応」について

これは、期間が長いほどいいといえます。
- 平均的な期間は6カ月
- 短い会社は3カ月のことも
というのが基本的な情報です。6カ月以上対応してくれるのもありがたいのですが、どちらかというと6カ月を過ぎた段階で法的措置など強い手段をとってくれる方が望ましいといえます(もちろん、これもサポート期間にカウントされますが、長さより質が大事ということです)。
督促方法については、たとえば、
- 電話だけなのか
- 書面でも通達するか
- 電話はどのくらいの頻度でかけるのか
などのルールも細かく確認します。基本的に厳しいほど良いものです。
督促については貸金業法などで一定の規制があります。しかし、消費者金融と違い、マンションの管理会社が引っかかることはまずないものです。これに抵触するほど強烈な督促をする管理会社は、ほぼ存在しません。
そのため、基本的に滞納への対応は「厳しいほど良い」と考えていいでしょう。
【参考】【PDF】賃貸不動産に係る家賃等の督促行為(紙上研修・第97号)
↑賃貸での督促についての解説ですが、内容を読むと「深夜の電話・訪問」など「ほぼすべての管理会社が、絶対にやらないような督促」が書かれているので、通常は抵触しないと考えていいでしょう(反社会勢力が運営している管理会社なら別ですが)。
データ・ノウハウが豊富に蓄積されているか
以下の蓄積をできているかも、重要な選定基準です。
- 管理物件のデータ
- 管理業務のノウハウ
- これらを共有するシステム
1つ目の「管理物件のデータ」は、今の管理会社のサービスが適切であるかを見るには「自分たちのマンションのデータが、しっかり蓄積されているか」を見ます。逆に、これから新しい管理会社を探すのであれば、その会社が管理している「他のマンション」のデータを、どれほど蓄積しているかで評価します。
もちろん、他のマンションのデータについては「その場で見せてもらう」ということはできません。しかし、どのような情報を蓄積しているかという「項目」は教えてもらえます。
それを知れば「いざ契約したら、このような情報を長期間蓄積してくれる」という期待をできるわけです。もちろん、その約束どおりの蓄積を、管理会社がしないこともあるでしょう。
しかし、これは契約の時点で、
- これこれの項目の情報を、
- 最長何年まで保管する
という内容を決めておけば良いのです。これで、もし必要な情報が必要なときに出てこなかったら「契約違反」となります。こうした契約があれば、新しい管理会社も期待どおりに情報を蓄積してくれるでしょう。
長期・大規模修繕の見通しは的確か

長期・大規模の修繕については、下の2点をチェックします。
- 長期修繕計画の見通し
- 大規模修繕の工事方式
現状の管理会社をジャッジするときには、
- 現時点で立っている計画は適切か
- 大規模修繕の方式をどう考えているか
ということを詳しく聞き出します。その内容が納得できないものであれば、見直しを検討するべきでしょう。
逆に、見直しをすでに始めていて「新しい管理会社」にこれらの内容を尋ねるときは、
- 管理を請け負うことになったら、長期修繕の計画をおおよそどのように立てるか
- 大規模修繕については、どのように考えるか(時期や内容など)
ということを聞き出します。現状で担当していない以上、あくまでおおよその構想になります。しかし、そのフロントマンの実力や経験、誠実さをある程度測ることができるでしょう。
緊急時・災害時の対応は安心できるか
平常時だけでなく、緊急時や災害時の対応が良いかということも重要です。具体的には下のような点をチェックしましょう。
- 緊急センターが設置されているか
- 震災・災害時のマニュアルはあるか(どんな内容か)
緊急センターとは、たとえば鍵や水回りなど、日常のトラブルで24時間・365日駆けつけてくれるというセンターです。これは大手なら自社で持っていることが多く、中小企業の管理会社なら、専門の会社に外注していることが多くなります。
「自社で緊急センターを持っている方が良い」とは限りません。たとえば「警備をセコムやALSOKに外注している」という管理会社が、信頼できないという人はいないでしょう。むしろ、これらの高度な業務を自前でやっている方が心配なはずです。
これは緊急センターについても同じことがいえます。「専門のレベルの高い会社と連携している方が良い」ということもあるのです。このため、最終的には「自前かどうか」より、「そのセンター自体を信頼できるか」が焦点となります。
契約後も見直しができる体制か
マンション管理の契約を見直すときは、さらにまた見直しをできるかという点も重要になります。当然ながら、一度見直しをしたら、その会社(新規でも継続でも)で、ずっとOKとは限らないのです。
- 契約時は良い会社に思えた
- あるいは、見直しで「良い」と思ったので継続した
- しかし、契約・継続をしたらダメな会社であるとわかった
ということもあるでしょう。もちろん、一度ふるいにかけている以上「まったく何もしなかった場合」よりは、良い会社である確率が高くなります。それでも「再度の見直し」はできる体制にしなければなりません。
そのための具体的なポイントとして、以下の内容が重要になります。
- CSアンケートがあるか
- 解約(ディスクローズ)のルールが明確か
CS(顧客満足)アンケートとは、普通に「うちの管理はどうですか?」と尋ねるアンケートです。フロントマンや管理員について尋ねるものも、会社自体について尋ねるものもあります。
もちろん「聞くだけで行動は何もしない」という会社もあるでしょう。しかし、聞いた時点で「それを無視する」ことの責任は重くなります。そのため、聞くだけでも「聞かないよりは信頼できる会社」といえます(実際、聞く会社は行動を起こす割合が高くなります)。
管理会社見直しのきっかけは?主な6つの理由

「自分たちのマンションは管理会社を見直すべきなのか」と悩むことは多いでしょう。そのようなときに参考になるのは「他のマンションではどのようなケースで見直しているのか」という理由・きっかけです。
そのような参考情報として、ここでは「マンション管理会社の見直しの理由」で、特によく見られる下の6つのパターンについて解説します。
以下、それぞれのパターンの説明です。
管理費が高い
これが見直しのきっかけとして特に多いもの。一時期ブームになったネタではありませんが「うわっ…うちの管理費、高すぎ…?」というべき状態ですね。
それまで管理費を受け入れていた以上、最初の時点ではさほど高い管理費ではなかったはずです。少なくとも「そう感じてはいなかった」はずです。
それが「高いと感じるようになった」原因は、先に説明した「日常・緊急の対応が悪い」という、2つのきっかけともリンクします。「この対応の悪さで、この管理費は高いのではないか」ということです。
そういう意味では、このきっかけは「対応が悪いと感じた」と重なる部分もあります。ただ、稀に「対応の善し悪しは関係なしに、最初からそもそも高かった」というケースもあるので、あえて分けています。
フロントマン・管理会社の対応が悪い
当然ながら、フロントマン(担当者)や、管理会社自体の対応が悪い場合は、見直しの対象となります。これは突発的なできごとではなく、基本的に「日々の不満が蓄積して」起こるきっかけといえます。
緊急時の対応が悪い

普段の生活で、管理会社の仕事ぶりを意識することはあまりありません。しかし、明確に意識せざるを得ないのが緊急時。
- 鍵をなくしてしまって家に入れない
- 水道管が壊れて水が止まらない
- トイレやお風呂の水が詰まってしまった
など、どんなマンションでもさまざまなトラブルがあるでしょう。2019年の台風では武蔵小杉の高級タワーマンションでも、大規模な停電などのトラブルが続き、話題になりました。
【参考】武蔵小杉タワマン停電、売却の動き出始める…豊洲など湾岸タワマンの危険性指摘も(ビジネスジャーナル)
つまり、安いマンションでも高いマンションでも「緊急事態」は必ず起こるわけです。そのようなときの対応が悪いと多くの入居者が感じているなら、それは管理会社を見直すべきタイミングといえます。
修繕積立金が値上げされた
ほぼすべてのマンションが、毎月「修繕積立金」を徴収して積み立てています。これ自体は当然良いことですが、一定のタイミングでそれが「値上げ」されることがあるものです。
もちろん、これ自体は適正な運営のために必要なことですが、問題は、
- 本当にその値上げは必要なのか
- これまでの運営は適切だったのか
という点です。
- わざと修繕を大規模にして、そこからマージンを抜こうとしている
- これまでの運営がまずかったため、修繕費が足りなくなった
などのケースが考えられるわけです。このような疑念を管理会社に対して持ったとき、多くの組合が見直しに動きます。
管理会社が行政処分を受けた
これはやや珍しいケースですが「管理会社が行政処分を受けた」という理由で、見直しに入る組合もあります。当然ながら、このような会社にいつまでも管理を任せるのは危険です。そのため、管理会社が行政処分を受けたら、すぐに会社を変更する必要があります。
行政処分を受けた管理会社の最新情報や歴代の情報は、下のNPOのページで一覧できます。
処分を受けた管理業者一覧(特定非営利活動法人 マンション管理支援協議会)
管理会社から解約を通知された
めったにないケースですが「管理会社から解約を通知された」というケースもあります。こうなる事情は主に下のようなものです。
- 管理会社の経営が単純に行き詰まった(倒産寸前など)
- 経営自体は悪くないが(黒字だが)人手不足になった
- 同じく経営は悪くないが、戦略的に規模を縮小している(選択と集中)
- 管理会社にとって「面倒なマンション」になった
最後以外は、マンション側がまったく悪くないものです。単純な「管理会社側の事情」です。
問題なのは4つ目です。この点について説明します。
管理会社にとって「解約したいマンション」とは
主に下のような条件が考えられます。
- 老朽化がひどすぎて手に負えない
- 住民の高齢化が進行し、先の見通しが暗い
- 建設時に致命的な問題があったことがわかった(住民が知っていてもいなくても)
- 住民や組合が口うるさい
まず、1つ目と2つ目の「老朽化・高齢化」については、撤退したくなる理由もわかるでしょう。廃墟マンションは、2025年にも大量に出現すると報道されています。
【参考】2025年、大量の「廃墟マンション」が出現する根拠(NEWSポストセブン)
組合・住民にとって厄介なのは3つ目で、この理由で管理会社が撤退するのであれば「かなりまずい」ということです。震災や台風などの災害が来たときはもちろん、単純に将来の耐久性がどうなるかという点も心配になるでしょう。
最後の「住民・組合が口うるさい」というのは、管理会社の感じ方の違いもあります。あるいは、管理人・フロントマンの個人的な性格(ストレス耐性の強弱)などもあるでしょう。
ただ、一般的に考えて「ここのマンションは管理会社に対してきつすぎる」という所も、稀に存在します。逆に「ゆるすぎる」ところの方が、日本では多いといえますが…。
何にしても、このような理由で解約を通知されたと思い当たるのであれば、新しい管理会社の選定では、ある程度の譲歩も必要となります。
管理委託契約のチェックポイント・7つ

管理会社を見直して新しい会社と契約するにしても、あるいは「今の会社との契約を練り直す」にしても、チェックポイントを知っておくと役立ちます。ここでは「管理委託契約で、どのようなポイントをチェックすればいいか」を7点、解説します。
- 「内容・方法」が明示されているか
- 「委託費内訳」が明瞭か
- 「状況報告」が適切か
- 契約が「自動更新」になっていないか
- 管理会社が問題を起こしたとき「契約解除」ができるルールか
- 問題がなくても管理組合から契約解除をできるか
- 守秘義務の記載があるか?
以下、それぞれのチェックポイントの説明です。
内容・方法が明示されているか
管理業務の「内容」と、それをどのように実施するのかという「方法」が明示されている必要があります。本来当然のことですが、これを明示しない悪質な管理会社もまれに存在します。
本来それほど難しいことではないので「わかりにくい説明なら、何か隠している」と思っていいでしょう。
委託費内訳が明瞭か
どんな支払いの明細でも「内訳」は重要です。これが明瞭であることは絶対条件といえます。
たとえば、一般社団法人のマンション管理業協会は、下記のように「委託費内訳書」のサンプルを公開しています。
画像引用元:【PDF】業務委託費内訳書(マンション管理業協会)
このような公的なサンプルを参考にしながら、管理会社の提示する内訳をチェックしましょう。
状況報告が適切か
管理会社は理事会に対して、定期的に報告を行います。報告の内容は主に下の2通りです。
- 建物に関するもの
- 会計に関するもの
これ自体は当然のことですが、その報告が適切かつ信頼できるか、という点が重要です。管理の方向については、公にも一定のルールがあります。
東京都は、状況報告の制度化を検討中
東京都では、下の資料のように「管理状況の報告を、より強力に法律で管理する」ことを検討しています。それが、増えていく廃墟マンションへの対応に必要だからです。
【PDF】報告制度化に向けた検討事項(東京都住宅政策本部 住宅企画部 マンション課)
このように自治体も報告を強く求めるほどですから、日常の住民に対する管理会社からの報告も、極めて重要といえます。
(これが適切かどうかの判断は、ある程度人間的に判断するしかありませんが、他の分譲マンションのオーナーさんから、そこの管理会社の話を聞いて比較するのもいいでしょう)
契約が自動更新になっていないか
委託契約のような大きな契約は、自動更新にするべきものではありません。本当に信頼できる管理会社なら、毎回検討しても自動に近い状態で更新されるので、わざわざこのような設定をしないのです。
それをせずに「自動更新」というルールにしているということは「検討されたら自信がない管理会社」といえます。このため「効率化」など、どのような理由を持ち出していても、自動更新を推奨する管理会社は避けた方がいいでしょう。
会社が問題を起こした時に契約解除ができるルールか
管理会社が以下のように社会的な問題を起こしたときは、ほぼ自動的に契約解除ができるルールになっていることが、望ましいといえます。
- 経営破綻
- 業者登録取消
経営破綻はそのままなので、説明の必要はないでしょう。「破綻したら管理できないのでは?」と思うかもしれませんが、これは「破綻」の定義によります。
たとえば「破産に近い状態から立て直す」手続きで「民事再生」というものがあります。
【参考】Wikipedia「民事再生法」
これは一般的に「経営破綻」といわれます。完全に倒産したわけではありませんが「ボロボロ」ということです。
【参考】「倒産」「破産」「民事再生」「会社更生」 それぞれの意味の違いは? (1/2)| ねとらぼ
いくら立て直しの道があるとしても、やはり組合としては、このような管理会社に今後も業務をまかせるのは不安でしょう。このため「民事再生などの破綻状態に陥ったら、自動的に契約を解除できる」ルールにしておく必要があります。
業者登録の取り消しとは?
まず、マンションの管理業者は「国土交通省の認可」を受ける必要があります。
- マンション管理適正化法・44条で決まっている
- 国土交通大臣の登録を受ける必要がある
- 「マンション管理業者登録簿」に登録する
というのが概要です。登録簿に業者が登録されているかは、国交省のホームページでチェックできます。
マンション管理適正化法律の44条は、下のページで確認できます。
【参考】マンションの管理の適正化の推進に関する法律「第一節 登録 第四十四条」の段落へ(国交省・公式サイト)
登録の抹消などの「ネガティブ情報」は、国交省の公式ページでチェックできます。
問題がなくても管理組合から契約解除をできるか

上記のような「明らかな問題」がなくても、「対応が悪い」などの不満もあるでしょう。このような理由でも、管理組合から契約解除をできる必要があります。
当然ながら、マンション管理は「サービス業」です。そのため「サービスに満足できない」と組合側が感じたら、行政処分などの問題がなくても、契約を解除していいのです。
この解除が自由にできるルールになっているかを、契約時にチェックする必要があります(もちろん、最短で3カ月後の解約などの、最低限の縛りはあります)。
守秘義務の記載があるか?
マンションの管理には、さまざまな守秘義務があります。たとえば入居者の「水道代」などの身近なデータも守秘義務の対象です。これについては、下の近畿地方整備局のQ&Aでもわかります。
こうした守秘義務についても明記されていることを、契約時に確認しましょう。
まとめ
マンション管理会社の見直しのやり方は、一言でまとめると数社のフロントマンの見積もりやプレゼンを比べて、初めてわかるものといえます。特に、長くマンションとして付き合っていくために必要なフロントマンの人間性については、実際に話し合ってみて初めてわかるものです。
そのため、まずはある程度信頼できる管理会社で、見直しのための見積もりをとってみることをおすすめします。そのような相談先の1社としておすすめできるのが、下記の「武蔵コーポレーション株式会社」です。

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